春水の頃【ティーアラン制作記録02】

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春水の頃。

雪がほどけ、

土の奥に眠っていた水が、

ゆっくりと動きはじめる季節。

目に見える大きな変化はなくても、

地下では確かに流れが生まれている。

制作室にとっての春水も、

そんなものかもしれません。

一本の木を植えたあと、

すぐに森になるわけではない。

けれど、根のまわりには

静かに水が集まりはじめる。

いまはまだ、

小さな部屋の中で、

机の上に散らばるメモや

描きかけのスケッチや

名前のついていないキャラクターたちが、

水を待つ種のように並んでいます。

物語は、

最初から完成された形では現れません。

ある日の光や、

ふとした記憶や、

何気ない一言が、

細い流れとなってつながっていく。

それは

音を立てないはじまり。

やがて形になる前の、

透明な時間。

この場所では、

急いで芽を出そうとはしません。

水が満ちるのを待ち、

土がやわらぐのを待ち、

自然に根が伸びる方向を探していきます。

T-ARANの世界もまた、

いまは春水の頃。

目に見える動きは小さくても、

内側では、

静かに物語が流れはじめています。

もし足元の湿り気に気づいたら、

それはきっと、

次の芽吹きの前触れです。

まだ名を持たない水の気配が

形になるもののそばで、静かに流れています。

その流れが、
物語の向きを少しづつ決めていくのかもしれません。

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